民主主義を前に進めるために

Arc Times ブランドデザイン

Arc Times(アークタイムズ)は、元朝日新聞の記者である尾形聡彦氏が2022年に米国と日本で設立した新しいオンラインメディアです。霞ヶ関やホワイトハウス、AppleやTeslaなどのカリフォルニアのテック企業を長らく取材してきた尾形氏が、アメリカから帰国後、権力者に忖度しないジャーナリズム本来の姿を追求すべく立ち上げました。
3周年を機に、ロゴデザインやタグラインなどのブランドデザイン計画を総合的に手掛けました。

Arc Times YouTubeチャンネルはこちらからご覧になれます。

CHAPTER 1


Arc Timesを定義する。

ブランドデザインを開発するにあたり、まず「Arc Timesとは何か?」を定義することから始めました。オンラインのニュースメディアであることには違いないのですが、「ニュースの本質を伝える」といった言葉では、Arc Timesの本質を捉えるには十分ではないように感じていました。 Arc Timesの特徴は、現場を取材した上でさまざまなエキスパートとの対話や視聴者とのコミュニケーションを通じて、ニュースの本質を考えること。そして、その先の展開を読むこと。さらに、機動力を生かして、情報発信をいつでもどこからでも行えることです。 その本質を「現場から、深く考え、先を読む」と定義しました。

タグライン

CHAPTER 2


キーワードは「ストイック」。

「報道で使用できない言葉は使わない」これは尾形氏と打ち合わせをする中で印象に残った言葉の一つです。Youtubeなどのオンラインメディアでは煽るような言葉が耳目を集めますが、そのような安易な流れには乗らず言葉を慎重に選び続けるその姿勢に、こだわりやジャーナリズム精神を感じました。 そこで「ストイック」というデザインコンセプトが脳裏に浮かびました。ロゴデザインやカラーなど、これまでのデザイン言語を踏襲しつつ、無駄のない洗練されたデザインシステムをストイックに追求しました。

ロゴデザイン
オリジナル書体「Arc Sans」
制定書体
Arc(円弧)を使用した、ロゴの展開例
ステッカー

CHAPTER 3


その言葉に個性が詰まっているはず。

Arc Timesと視聴者との一番重要な接点はサムネイルとオープニング動画です。そこで、「ストイック」というキーワードに沿いながら、どのように「らしさ」を演出できるのでしょうか? 方針はすぐに明確になりました。CHAPTER 2に記したように、YouTubeのサムネイルなどで使用されている言葉は「報道で使用できない言葉は使わない」という哲学をもとに生み出されており、それこそが個性であると考えました。つまり、これまで生み出してきた言葉を整理して提示すれば、表現せずとも自然と個性が滲み出てくるはず。そのように考えました。
オープニング動画のコンセプトは「動く新聞」。これまでのサムネイルで使用された言葉と、動画と静止画、そして縦型の動画を組み合わせて、オープニング動画を制作しました。 新聞誌面をフォーマット化しているので、言葉と動画を入れ替えれば簡単に更新が可能です。

番組名と定義づけなどを整理して、プログラムを体系化しました。
オープニング動画 作曲・編曲:尾形聡彦
「Arc Sans」より展開された、プログラム名のロゴ
サムネイルのデザイン
サムネイルをフォーマットし、作業負荷を軽減しました。

CHAPTER 4


関西から民主主義を考える。

三周年記念のイベントを大阪で開催することが決まり、その場で新しいデザインを発表することに決まりました。そのイベントの案内は、「Arc Times」という新聞の一部分を切り取ったもの、といったイメージでデザインしました。

当日のイベントの一部はこちらからご覧になれます。

フライヤー

CHAPTER 5


Arcは対話の場所や包摂を象徴する形でもある。

Arcとは円弧を意味します。スラングとして、ヒーローが伸びていくプロセスも指します。それは完全な円を目指して成長する形であり、私たち一人ひとりがそれぞれの人生でヒーローへと成長していく過程を象徴しているかのようです。
今回のプロジェクトでは、その円弧に新しい意味を付け加えました。つまり、Arc Timesはゲストの方々や視聴者の皆さん含め、さまざまな考えを持つ人と対話をする場所であり、コラボレーションをする場所でもある、と。さらに、その円弧のフォルムが常に開かれているように、異なる意見をも柔らかく包摂する場所である、と。 シンプルな形であるからこそ、さまざまな意味を付与し発展させることができます。今回のプロジェクト以降もそのデザインはさまざまに拡張し、Arc Timesと共に成長していくのだと思います。

INFORMATION

プロジェクト名

Arc Times ブランドデザイン

クライアント

アーク・タイムズ株式会社

開発内容

ロゴデザイン、動画制作、サムネイルデザイン、書体デザイン

制作年

2025